日本酒用語集

このページでは、日本酒に関連する用語について、解説します。

索引


ア~オ

熱燗(あつかん)
「日本酒」を50度前後に温めたもの。香りはシャープになり、味わいはキレがよくなる。


甘口
「日本酒度」において、マイナス(水よりも比重が重い)で表される酒が「甘口」とされる。ただし、味わいを決める要素は比重以外にもあることに加え、人によって味覚は異なるため、この数値だけで甘口、辛口を決めることはできない。


甘辛度
酒の辛口甘口を表す指標。


荒走り(あらばしり)
醪(もろみ)を搾る際、最初に出てくる液体のこと。圧力を加えないで、最初に積まれた酒袋の重みだけで自然に出てくるもの。一般的に「滓(おり)」が多く、アルコール度は低めで、香りが高く切れ味が良い。少量しか取れないため高価な場合が多い。


滓(おり)
槽口(ふなくち)から搾り出されたばかりの酒にみられる、酵母・デンプンの粒子・蛋白質・多糖類などの濁った黄金色をした成分のこと。


滓酒(おりざけ)・滓がらみ(おりがらみ)
滓を絡めて商品化したもの。米のエキスが凝縮されており、複雑美味な味わいとなっている。
滓引き(おりびき)
「上槽」を終えた酒の「滓(おり)」を沈殿させるため、タンクの中で酒をしばらく放置すること。


カ~コ

活性清酒
発泡性(スパークリングタイプ)の清酒のこと。「活性清酒」には、シャンパン同様、瓶内二次発酵方式でアルコール度数が高いもの、瓶内二次発酵方式ではあるがアルコール度数が低いうすにごり状態のもの、炭酸ガスを注入するもの、などがある。


辛口
「日本酒度」において、プラス(水よりも比重が軽い)で表される酒が「甘口」とされる。ただし、味わいを決める要素は比重以外にもあることに加え、人によって味覚は異なるため、この数値だけで甘口、辛口を決めることはできない。


生一本(きいっぽん)
単一の製造場のみで醸造した純米酒。スコッチ・ウイスキーでいえば「シングルモルト」がこれに当たる。


貴醸酒(きじょうしゅ)
水の代わりに、酒で仕込んだタイプの日本酒。能純名甘味と、琥珀色をした色調が特徴。


生酛(きもと)
乳酸菌による酸の力で雑菌を排し、酸に耐性のある酵母菌を育成する昔ながらの製法。所要期間が長く(約1か月)、時間や労力がかかるために敬遠される傾向にあるが、この製法による酒は非常に深いテイストを持つため、伝統の復活に取り組む「酒蔵」も増えてきている。


吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)・吟香(ぎんか)
リンゴやバナナ、メロンなどを思わせる甘く華やかな果実香で、低温発酵時に酵母が出すエステル類、とくにカプロン酸エチルや酢酸イソアミルに起因する。


吟醸酒
「精米歩合」60%以下の白米、「米こうじ」及び水、又はこれらと醸造アルコールを原料とし、吟醸造りによって製造した「清酒」で、固有の香味及び色沢が良好なものに用いることができる名称。ただし、その白米は、3等以上に格付けた玄米又はこれに相当する玄米を使用し、さらに「米こうじ」の総重量は、白米の総重量に対して15%以上必要であるとされる。「吟醸香」と呼ばれる華やかな香気を特徴とする。


吟醸造り
最吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(「吟香」)を有するように醸造すること。最後にもろみを絞る前に、吟醸香を引き出すために醸造アルコールを添加する(使用する白米1トンにつき120リットル、重量比でおよそ1/10以下という制限がある)ことで、芳香成分や味に関係する成分をより日本酒側に残すため、香りや味が濃くなる。


蔵人(くらんど)
日本酒の醸造にかかわる職人のこと。


原酒
「上漕」後、割水もしくは加水によって香味やアルコール度数の調整(アルコール分1%未満の範囲内の加水調整を除く)をしない「清酒」のこと。


合(ごう)
「日本酒」の容量を表す単位のひとつで、一合は180ミリリットル。一升の10分の1であり、四合瓶(中瓶)の容量は、720ミリリットル。


古酒
明確な定義があるわけではないが、数年~数十年と長期にわたって熟成させた日本酒を指す。長い熟成期間を経た日本酒は、琥珀色の色調や複雑な熟成香を持つことが特徴となる。


米麹(こめこうじ)
蒸した米に麹菌を繁殖させたもの。「清酒」に用いる「米麹」については、「清酒の製法品質表示基準を定める件」(平成元年11月22日 国税庁告示第8号)において、「米こうじとは、白米にこうじ菌を繁殖させたもので、白米のでんぷんを糖化させることができるものをいい、特定名称の清酒は、こうじ米の使用割合(白米の重量に対するこうじ米の重量の割合をいう。以下同じ)が、15%以上のものに限るものとする。」と定められている。


サ~ソ

酒蔵(さかぐら)・造り酒屋(つくりざかや)
蔵で酒を醸造し、店舗でそれを販売する職業のこと。


しぼりたて・新酒
日本酒は、毎年7月から翌年6月が製造年度と定められており、通常は製造年度内に出荷されたものを「しぼりたて」や「新酒」と呼ぶ。


酒母(しゅぼ)
米を発酵させるのに必要となる酵母を大量に培養し、増やしたもの。


純米酒
白米、「米こうじ」及び水のみを原料として製造した「清酒」で、香味及び色沢が良好なものに用いることができる名称。ただし、その白米は、3等以上に格付けた玄米又はこれに相当する玄米を使用し、さらに「米こうじ」の総重量は、白米の総重量に対して15%以上必要であるとされる。


純米吟醸酒
「吟醸酒」のうち、醸造アルコールを添加せず、米、「米こうじ」及び水のみを原料として製造したものに特に用いることができる名称。


純米大吟醸酒
「大吟醸酒」のうち、醸造アルコールを添加せず、米、米こうじ及び水のみを原料として製造したものに特に用いることができる名称。


升(しょう)
「日本酒」の容量を表す単位のひとつで、一升は1.8リットル。一升瓶に入る容量がちょうど「一升」である。


上槽(じょうそう)
酒造りにおいて、醪(もろみ)から生酒(なまざけ)を搾る工程のこと。


清酒
酒税法による分類の1つで、ほぼ「日本酒」を指すものと考えてよい。酒税法による「清酒の定義」は、次の通りで、アルコール度数が22度未満のものをいう。
  1. 米、米こうじ、水を原料として発酵させてこしたもの
  2. 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発行させてこしたもの
  3. 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの

なお、酒税法上は「清酒」に分類されない(アルコール度数22度以上)日本酒もある。


精米歩合
白米のその玄米に対する重量の割合。たとえば、精米歩合60%というときには、玄米の表層部を40%削り取ることを意味する。


速醸酛(そくじょうもと)
乳酸菌をあらかじめ人工的に加える近代的な製法のこと。仕込み水に醸造用の乳酸を加え、十分に混ぜ合わせた上で、掛け米と麹を投入して行われる。「生酛(きもと)系」と比べると所要期間が短く(2週間程度)、現在、流通している日本酒のほとんどがこの「速醸酛」によって造られている。


タ~ト

樽酒
杉の樽など木製の樽で貯蔵し、木香のついた「清酒」のこと。販売時点で樽に入っているかどうかとは無関係なので、瓶詰めの「樽酒」といったものもある。


大吟醸酒
「吟醸酒」のうち、「精米歩合」50%以下の白米を原料として製造し、固有の香味及び色沢が特に良好なものに用いることができる名称。「大吟醸酒」は最高の酒米を極限まで磨き、蔵人の力を結集して醸した日本酒の最高峰といえる。


杜氏(とうじ)
「蔵人(くらんど)」の監督者であり、酒蔵の最高製造責任者とされる。名前の由来には諸説あり、はっきりとした由来は不明。


特別純米酒
「純米酒」のうち、香味及び色沢が「特に良好」であり、かつ、その旨を使用原材料、製造方法その他の客観的事項をもって当該「清酒」の容器又は包装に説明表示するもの(「精米歩合」をもって説明表示する場合は、「精米歩合」が60%以下の場合に限る)に用いることができる名称。


特別本醸造酒
「本醸造酒」のうち、香味及び色沢が「特に良好」であり、かつ、その旨を使用原材料、製造方法その他の客観的事項をもって当該「清酒」の容器又は包装に説明表示するもの(「精米歩合」をもって説明表示する場合は、「精米歩合」が60%以下の場合に限る)に用いることができる名称。


特定名称酒
「清酒」の要件を満たしたもののうち、原料や製法が一定の基準を満たすものは、国税庁告示に定められた特定の名称を容器又は包装に表示することができる。この特定名称を表示した「清酒」を「特定名称酒」という。原料や「精米歩合」により、「本醸造酒(ほんじょうぞうしゅ)」、「純米酒(じゅんまいしゅ)」、「吟醸酒(ぎんじょうしゅ)」に分類される。


斗瓶囲い(とびんかこい)
日本酒の搾り方の一つで、出てきた酒を斗瓶といわれる18リットルの特殊な瓶に詰めた日本酒のこと。「袋吊り・雫酒(しずくざけ)」と同意。非常に華やかな芳香をもち、最高級品に分類される。


ナ~ノ

中取り(なかどり)・中汲み(なかぐみ)、中垂れ(なかだれ)
「上槽」時、「荒走り(あらばしり)」の次に、出てくる部分。味と香りのバランスが最も良いとされる。厳密には、酒袋の山の自重で出てきた部分と、自重に加えてさらに圧力を掛けたときに出てきた部分の二段階がある。


生酒(なまざけ、きざけ)
製成後、加熱処理または「火入れ」を一度もしない「清酒」。生もので劣化しやすく、鮮度には注意を要し、冷蔵保存する必要がある。「生酒(なましゅ)」とは別の概念。


生酒(なましゅ)
「滓引き(おりびき)」を施した上澄みの部分のこと。「生酒(なまざけ)」とは、別の概念。


生貯蔵酒
製成後、「火入れ」をしないで貯蔵し、出荷の際に「火入れ」した「清酒」。


生詰め酒
「生貯蔵酒」とは反対に、製成後、「火入れ」をしてから貯蔵し、製造場から出荷する際に火入れを行わない「清酒」。


にごり酒
「にごり酒」は、「上槽」の際に粗い目の布などで濾(こ)して、意図的に「滓(おり)」を残したもの。「火入れ」をしない場合は瓶内部で発酵が持続し、発泡性のものになる。「滓(おり)」に含まれている旨みのほか、「醪(もろみ)」独特の濃厚な香りや味わいが楽しめる。酒税法上、全く濾していない酒は日本酒(清酒)には分類されないので、「清酒」表示のある「にごり酒」は、わずかであれ濾されていることになる。


日本酒
酒税法の定義では「清酒」がこれに当てはまるが、清酒ではない(アルコール度数22度以上)日本酒も存在する。


日本酒度
「清酒」の比重を示す単位。日本酒の温度を15℃にし、日本酒度計を浮かべたる。このとき、4℃の蒸留水と同じ重さの「日本酒度」を0とし、それよりも軽いものは+(プラス)の値、重いものは-(マイナス)の値をとる。


ハ~ホ

破精(はぜ)
麹菌(こうじかび)の菌糸が米に喰い込んだように見える状態。具体的には、米のあちこちに出てくる白い斑点のこと。


火入れ・火当て
醸造した酒を加熱して殺菌処理を施すこと。「火入れ」を行うことで、母・酵素・火落菌を殺菌または失活させることで酒質が安定するようになる。


老ね香(ひねか)
「清酒」が過度に熟成したときにでる香り。熟成香の1つで、好ましくない不快な熟成香を「老ね香」という。


冷や(ひや)
常温の「日本酒」。特別に冷やしたものをいうわけではない。


冷やおろし(ひやおろし)
冬季に醸造した後に春・夏の間、酒蔵で貯蔵・熟成させ、気温の下がる9月の終わりから10月にかけて瓶詰めし出荷された「清酒」。


袋吊り・雫酒(しずくざけ)
「上槽」時、もろみを袋に詰め、袋を吊り下げてそこから垂れてくる酒をとる方法。高級酒に多く用いられる。こうして採られた酒は雫酒(しずくざけ)と呼ばれることもある。


復古酒(ふっこしゅ)・復元酒
各地方に伝わる昔からの仕込み方法や、文献などで記載されている手法を再現した酒を指す。


普通酒
「特定名称酒」以外の「清酒」。一般に流通している大部分の日本酒は普通酒に分類される。


本醸造酒
「精米歩合」70%以下の白米、「米こうじ」、醸造アルコール及び水を原料として製造した「清酒」で、香味及び色沢が良好なものに用いることができる名称。ただし、その白米は、3等以上に格付けた玄米又はこれに相当する玄米を使用し、さらに「米こうじ」の総重量は、白米の総重量に対して15%以上必要であるとされる。また、使用する白米1トンにつき120リットル(重量比でおよそ1/10)以下の醸造アルコールを添加してよいことになっている。


マ~モ

無濾過(むろか)
活性炭濾過による香味調整をしない酒。


醪(もろみ)
仕込みに用いるタンクの中で酒母、麹、蒸米が一体化した、白く濁って泡立ちのある粘度の高い液体のこと。


ヤ~ヨ

山卸し(やまおろし)
日本酒造りにおいて、蒸した米、麹、水を混ぜ粥状になるまですりつぶす工程のこと。


山廃(やまはい)・山廃止込み(やまはいしこみ)
「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」という日本酒の製法の一つ。酒造りの工程において、「山卸し(やまおろし)」と呼ばれる工程を除いた製法のことをいう。「山廃止込み」は手間がかかるうえに、途中で腐敗するリスクも大きいことから、第2次大戦終了直後には一度途絶した歴史を持つ。


ラ~ロ

濾過(ろか)
「滓下げ(おりさげ)」の施された「生酒(なましゅ)」の中にまだ残っている細かい「滓(おり)」や雑味を取り除くこと。「濾過」するこにより、本来持つ香味が損なわれる


ワ~ン

割水(わりみず)
熟成のための貯蔵タンクから出された酒へ、出荷の直前に加水調整用水を加える作業をいう。なお、焼酎の製造過程では、まったく同じ工程を和水(わすい)と呼ぶ。


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