このページでは、ウイスキーに関連する用語について、解説します。
索引
ア~オ
- アイリッシュ・ウイスキー
- アイルランド共和国および北アルルランドで造られるウイスキーの総称。世界の産地の中で歴史的に最も古いウイスキーとされている。
- アメリカン・ウイスキー
- アメリカで造られるウイスキーの総称。「バーボン・ウイスキー」が代表的。定義は、穀物を原料にアルコール度数95%以下で蒸留し、オーク樽で熟成させた後、アルコール度数40%以上でボトリングしたもの、とされている。麦芽の乾燥時に、「ピート」を使わないのが特徴。
- インディペンデント・ボトラー
- 自前の蒸溜所を持たず、蒸溜所から樽ごと原酒を買い取り、独自の設備で熟成、瓶詰めしたウイスキーを販売する会社のこと。
- ウイスキー
- 蒸留酒の一つで、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化し、これを発酵させ蒸留したもの。
- ウォッシュ・スチル
- モルトウイスキーの1回目の蒸溜(初溜)で使われるスチル(釜)のこと。初溜釜ともいう。
- ヴァッティング
- 複数の「モルトウイスキー」同士、または「グレーンウイスキー」同士を混ぜ合わせること。樽同士を集めて巨大な桶で混ぜ合わせて、ならされる。
- エステリー
- ウイスキー中の脂肪酸とアルコールが反応してできる化合物を「エステル」という。「エステル」からは、果実や花のような甘く華やかな香りが感じられる。このような香りを指して「エステリー」と表現される。
- オフィシャル・ボトル
- 蒸留所や蒸留所のオーナー会社が商品化するウイスキーのこと。生産工程のすべてが管理されているため、蒸留所ごとの味わいや特徴が分かりやすい。比較的入手しやすく、品質も安定しているといえる。
- オン・ザ・ロックス
- グラスに大きめの氷を入れ、ウイスキーを適量注ぐ飲み方。グラスも十分に冷えていることが理想。ブレンデッド・ウイスキーや、熟成年数の短いウイスキーを飲む際におすすめ。
カ~コ
- カスクストレングス
- 樽熟成したあとに加水せず瓶詰めされた原酒のこと。樽出原酒。加水されていないため、アルコール度数が50~60度と高い。
- カナディアン・ウイスキー
- カナダで造られるウイスキーの総称。定義は、穀物を原料として麦芽などで糖化し、酵母などで発酵を行い、カナダで蒸留した後700L以下の樽で3年以上熟成させたもの、とされる。「アメリカン・ウイスキー」同様、麦芽の乾燥時に、「ピート」は使用しない。
- カフェ式連続式蒸溜機
- 旧式で現在主流の「連続式蒸溜機」と比べると蒸溜効率は劣るが、蒸溜液に原料由来の香りや成分が残るという特徴がある。発明者であるイーニアス・カフェの名にちなんで「カフェ・スチル」と呼ばれている。ニッカウヰスキーの宮城峡蒸溜所で採用されている。
- グレーンウイスキー
- グレーンとは穀物のことをいい、麦芽のほかにトウモロコシやライ麦などの穀類を原料として、連続式蒸溜機で造られるウイスキーのこと。
サ~ソ
- 直火蒸溜
- 直火蒸溜:蒸溜釜を、火で直接加熱する製法。現在はスチームパイプなどで間接的に加熱している場合がほとんどだが、ニッカウヰスキーの余市蒸溜所では、今でもこの伝統的な製法が採用されている。
- シェリー樽
- スコットランドでウイスキーに高額の酒税が課されるようになり、スコットランドの人々がシェリーの空樽にウイスキーを詰めて密造したのが始まりとされる。貯蔵したウイスキーに深みのある独特な果実香をもたらす。
- シングルカスク
- 単一樽の原酒のみで造られたウイスキーのこと。
- シングルモルト
- 「スコッチ・ウイスキー」においては、単一蒸溜所の原酒のみで造られたウイスキーのこと。また、「アメリカン・ウイスキー」においては、大麦のみを原料とするウイスキーのこと。
- スコッチ・ウイスキー
- スコットランドで造られるウイスキーの総称。スコッチは、ウイスキーの代名詞ともいえる。「ピート(泥炭)」を焚き込んだスモーキーな風味が特徴。
- ストレート
- ウイスキーの飲み方の1つで、一切、加水などせずに飲む方法。ウイスキー本来の味を楽しむことができる。香りのあるシングルモルトや、長期熟成のウイスキーなどを飲む場合に最適な飲み方。アメリカでは、「ストレート・アップ」や単に「アップ」ともいう。また、イギリスでは、「ニート」ともいう。
- スモーキー
- 麦芽を乾燥させるときに焚き込まれる「ピート」に由来する香り。「スモーキー」は、モルトウイスキーに特有の香り。「スモーキー」フレーバーは、さらに「ピーティ」、「メディシナル」、「ハーシュ」に大別される。
タ~ト
- チェイサー
- 水・炭酸水・コーラ・ジュースなどのウイスキーを飲んだ後に飲む、飲み物のこと。「チェイサー」の役割としては、味覚をリセットする、アルコール濃度を下げる、ウイスキーの風味を広げる、脱水症状を防ぐなどがある。アメリカでは、強い酒の後にに飲む水などのことを「チェイサー」と呼ぶが、イギリスでは、弱い酒の後に飲む強い酒のことを「チェイサー」と呼ぶため、注意が必要。
- チャコール・メローイング製法
- サトウカエデの木炭を積み上げた濾過槽で、蒸溜したウイスキーを1滴、1滴、長時間かけてろ過する製法。テネシー・ウイスキーの「ジャック・ダニエル」は、今でもこの伝統的な製法を用いて造られている。
- テクスチャー
- 舌触りのこと。アルコールと水、そしてフレーバー成分のバランスにより変化する。
- 天使の分け前
- ウイスキーは熟成期間が長いほど、蒸発によって徐々に失われていく。これを「天使の分け前」という。当然、熟成期間が長いほど「天使の分け前」は多くなる。そのため、熟成期間が長いほど、ウイスキーはより高価なものとなっていく。
- トップ・ドレッシング
- ブレンデッド・ウイスキーにおいて、厚みやまろやかさ、深みなどの重要な部分を生み出すモルトウイスキーのこと。
- トワイスアップ
- ウイスキーに同量の常温天然水を加える、ウイスキーの香りを知るのに最適な飲み方。テイスティンググラスなど、脚付のグラスに注ぎ、香りを立たせて味わう。シングルモルトや、長期熟成のウイスキーにおすすめ。
ナ~ノ
- ナッティ
- アーモンド、ココナッツ、ピーナッツ、チョコレートなどの香味を思わせる、やや油っぽい感覚。
- ニューポット
- 単式蒸溜機(ポットスチル)から溜出したばかりのモルトウイスキーのこと。アルコール濃度が高く約60~70%あり、色は無色透明。
- ノンチルフィルター
- 通常のウイスキーでは、白濁を防ぐために原酒や製品を0~5度まで冷却ろ過する。「ノンチルフィルター」とは、この冷却ろ過をしていないという意味。
ハ~ホ
- ハイボール
- ウイスキー本来の味わい、コクが際立ち、料理の味も引き立てる飲み方。ウイスキー1に対してソーダ3の割合がおすすめ。リーズナブルなウイスキーに適した飲み方。
- ハーシュ
- ざらざらした香りを意味し、あまりよくない「スモーキー」フレーバーを表す。
- ハーフ・ロック
- 「オン・ザ・ロックス」の1つで、ウイスキーと、水・ソーダなどを1:1で作る。ウイスキーの香りと味をマイルドに引き出す飲み方。
- バーボン
- トウモロコシを主原料(51%以上80%未満)として、内側を焼き焦がしたオーク樽で2年以上熟成させたウイスキーのこと。アメリカ合衆国ケンタッキー州を中心に生産されている。なお、80%以上のトウモロコシを原料として含むウイスキーは、「コーン・ウイスキー」として、区別されている。かつて、ケンタッキー州バーボン群で生産されていたことが名前の由来とされる。
- バーボン樽
- ケンタッキー産のバーボンウイスキーは、オークの新樽を使うことが定められているため、1度しか使用することができない。「バーボン樽」の9割が、スコッチの生産で再利用されている。「バーボン樽」は貯蔵したウイスキーにバニラ香をもたらす。
- パンチョン
- 容量480リットルサイズのウイスキー樽。ずんぐりとした形をしている。木香はそれほど濃厚ではなく、すっきりとしたモルトウイスキーを熟成する。
- ピーティ
- 「スモーキーフレーバー」の中で特に心地よい燻製のような芳しい香りのこと。
- ピート
- ヒース・こけ類・海藻などの植物が半分炭化したもの。泥炭。麦芽を乾燥させるときに焚き込まれ、独特なスモーキーさが感じられる。
- ファーストフィル
- 一度バーボンやシェリー酒などの熟成に使われたあとの樽のこと。樽は何度か繰り返して使用される。スコッチの熟成に新樽は使われない。
- ブレンディング
- モルト原酒とグレーン原酒を混ぜ合わせること。
- ブレンデッド・ウイスキー
- 「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」を混ぜ合わせて造られたウイスキーのこと。数十種類の「モルトウイスキー」をブレンドしたうえで、バランスの良い味へとまとめるため「グレーンウイスキー」を加え、再貯蔵(マリッジ)して造られる。
- フロアモルディング
- 大麦を石床に広げて発芽させ、数時間おきにすき返して発芽を均一にうながす。
- ヘザーハニー
- ヘザー(日本ではヒースと呼ばれている)というスコットランドを代表する花からとれる蜜のこと。甘く濃厚な香り。
- ホグスヘッド
- 容量250リットル前後のウイスキー樽。容量480リットルの「パンチョン」と比べると容量が小さいため、貯蔵したウイスキーに木香が移りやすい。
- ホット・ウイスキー
- ウイスキーを適量グラスに注ぎ、ウイスキーの2~3倍のお湯を加える飲み方。トッピングには、柑橘類やハーブ類、ジャムなどが合う。
- ポットスチル
- モルトウイスキーの蒸留に使われる単式蒸溜釜。独特なかぶとのような形状をしている、銅製の手作りでできている。通常は、初溜釜と再溜釜の2つで一組となっている。
- ボトラーズ・ブランド
- 「インディペンデント・ボトラー」が販売するウイスキーを「ボトラーズ・ブランド」と呼ぶ。各蒸溜所からさまざまな樽を買い付けるため、熟成年数、アルコール度数、樽の種類により商品のラインナップが豊富であることが特徴。場合によっては、閉鎖されてしまったなどの理由によりオフィシャル・ボトルを入手することのできない蒸溜所の味を楽しむこともできる。ボトラーズものには、モルト本来の個性をより堪能できる「カスクストレングス」が多いのも特徴。
- ホワイトオーク樽
- 北アメリカが原産で、適度な堅さと優れた耐久性がある。ウイスキーの熟成に大きな影響を与えるポリフェノールが豊富に含まれている。
マ~モ
- マッシュビル
- 「バーボン」は主原料であるトウモロコシに、ライ麦、小麦、モルトを加えて造られる。これら原料穀物の構成比率を「マッシュビル」という。
- ミスト
- グラスにクラッシュド・アイスをたっぷり入れ、ウイスキーを適量注ぐ飲み方。グラスが白い霧のような水滴に包まれることから、こう呼ばれている。シンブルモルトやバーボンよりも、ブレンデッド・』ウイスキーや熟成年数の短いウイスキーにおすすめの飲み方。
- ミズナラ樽
- 日本に自生していてジャパニーズオークとも呼ばれる、ミズナラを使用したウイスキー樽。強度と重厚感があり、伽羅(きゃら)や白檀(びゃくだん)の香りにたとえられる独特の熟成香が特徴。
- 水割り
- 水がウイスキーの個性を柔らかく包むので、食事と一緒に楽しむのに最適な飲み方。ウイスキー1に対して、ミネラルウォーター2~2.5が基本的な「水割り」の割合。硬水よりも軟水のほうがおすすめ。
- メディシナル
- ピートに含まれる海藻成分に由来する「ヨード香」(薬品臭)のこと。
- モルティ
- 大麦麦芽に由来する香ばしい香味のこと。焼き立てパン、ビスケット、コーンフレークなどの甘い穀物の香りを思わせる。
- モルトウイスキー
- 「スコッチ・ウイスキー」においては、大麦麦芽(モルト)のみを原料とするウイスキーのこと。また、「アメリカン・ウイスキー」においては、大麦が原料の51%以上を占めるウイスキーのこと。
ヤ~ヨ
- ヨード香
- ピートの煙や海岸の影響を受けた、海藻のようで薬のような香り。ヨードチンキのような匂い。
ラ~ロ
- ライムストーン・ウォーター
- 一般的に「スコッチ」は軟水で仕込まれるが「バーボン」は石灰岩から湧き出るライムストーン・ウォーターというアルカリ性の硬水で仕込まれる。